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第32話 七年ぶりに聞いた兄の声

last update publish date: 2026-10-03 20:06:44

第32話 七年ぶりに聞いた兄の声

 翌朝、結衣が目を覚ましたとき、玲司は窓際に立っていた。

 夜明け前から起きていたのだろう。テーブルの上には冷めたコーヒーが置かれ、ほとんど手をつけた様子がない。

「おはようございます」

「ああ」

「寝ました?」

「少し」

「その答え、信用できないんですけど」

「三時間は寝た」

「全然駄目じゃないですか」

 いつもなら、そこから朝食を食べろだの、横になれだのと言い合いになる。

 でも今日は、結衣も強く言えなかった。

 安西が持っているという音声。

 事故の三日前。

 玲司の兄、圭司本人が残した声。

 玲司が平静でいられるはずがない。

「怖いですか」

 結衣が尋ねた。

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